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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(れ)725号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人野村高助の上告趣意は末尾に添えた書面記載のとおりである。

上告趣意第一点について。

犯罪の場所は旧刑訴第三六〇条にいわゆる罪となるべき事実にあたらないのみならず、原判決の判文によれば本件犯罪の場所としては大牟田市大字西米生宮原社宅五十一棟野田中一方前で傷害を加えた結果、同市鳥塚町(判文に島塚町とあるのは挙示の証拠に照し鳥塚町の誤記と認められる。)被害者宅で死亡せしめた旨判示せられているのであるから犯罪場所の具体的摘示として明確であって、原判決には所論の違法はない。

同第二点について。

所論被告人等が共同して損傷を加えた事実は原判決の判文自体で明らかなように証拠により認めた事実である。このような証拠によって認定した事実は又一個の事実として証拠となり得ることは勿論であるから、原判決が右事実を未必の殺意の証拠資料に供したことは違法でない。そして原判決挙示の証拠によれば判示事実を認めるに足るのであって原判決には所論のような違法はない。

同第三点について。

所論は畢竟原審の專権に属する事実認定を爭うに帰し適法な上告理由とならない。

よって旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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